羊があなたを面白いお母さんだと思ったらどうなるか見てみましょう
ある朝、小さな牧場に住むメイさんは、いつものようにニンジンと干し草を抱えて柵の向こうへ向かいました。風はやわらかく、空気は澄みきっていて、動物たちの声がどこか楽しげに響いていました。
メイさんは特別なお母さんです。人間の子どもはいませんが、彼女にはたくさんの“毛むくじゃらの子どもたち”がいるのです。そしてその中に、とびきりユニークな子がいました——名前はモコ。白くてふわふわの毛に覆われた若い羊で、好奇心旺盛、そしてちょっぴりおてんば。
モコがメイさんのことを“お母さん”と認識したのは、ある不思議なできごとから始まりました。
ある日、メイさんは牧場のフェンスを修理しながら、ふと口笛を吹き始めました。リズムもへったくれもない即興ソング。でも、そこにはメイさん特有のあたたかさと笑いがこもっていて、それを聞いたモコはまるで魔法にかかったかのように駆け寄ってきたのです。
「モコ?なに?そんなに楽しいの?」
羊は言葉を話せないけれど、その表情、耳の向き、そして何より尻尾の小さなフリフリで、彼女の気持ちはよく伝わってきます。メイさんの横にぴったりとくっついて離れなくなったモコは、その日から彼女を本気で“自分の親”だと思いはじめたようでした。
次の日から、モコの行動はさらにおかしな方向へ。
メイさんが草を刈ろうと鎌を持てば、モコは背後から「メエェ~!」と声をあげて助太刀(のつもり)をし、洗濯物を干せばタオルに頭を突っ込んでフリフリ…。食器を洗えばその横で泡に鼻を突っ込んでくしゃみ連発。
「モコ、やめてぇ~!お皿がびしょ濡れ!」
でも不思議と、怒る気にはなれませんでした。むしろ、その一挙手一投足が面白すぎて、メイさんの笑いが止まらない。日々のちょっとした疲れも、モコの無邪気な“母子ごっこ”ですっかり癒されてしまうのです。
そして、極めつけは「お昼寝タイム」。
メイさんが昼下がりにデッキチェアでうとうとしていると、モコがそーっと近づいてきて、彼女のお腹の上に前足をぽすん。そしてそのまま、羊の顔をちょこんと彼女の肩にのせて…一緒にお昼寝。
通りがかった近所の子どもたちはその姿を見て、「なにあれ!羊が赤ちゃんみたい!」と大爆笑。
そう、モコは完全に「メイママ命」だったのです。
モコにとってメイさんは、草をくれる人、安心できる人、そして何より「一緒にいると楽しい」存在。
動物たちは本能で人の優しさや面白さを感じ取るのかもしれません。
そして一度「この人は自分のお母さんだ」と心が決まれば、その絆はとても強く、深いものになります。
今でも、牧場のあちこちでメイさんとモコのドタバタ劇は繰り広げられています。
タライをひっくり返す音、メイさんの笑い声、そしてモコの「メエエ~!」というご機嫌な叫び。
そのすべてが、そこに流れる小さな愛のかたちなのです。
あなたがもし、羊に「面白いお母さん」だと思われたら——
きっと毎日がちょっぴりドタバタで、でも心の底からあたたかくて、幸せに満ちた時間になることでしょう。
そして、そんな毎日は、とても特別で、かけがえのない“家族の物語”になるのです。
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