アヒルの子がお風呂に入っているのを見ているかわいい子猫は最高に面白い
ある午後のこと。
カーテンの隙間から差し込むやわらかな光が、キッチンの床に水玉模様を描いていた。外はまだ冬の名残が少し残っていたけれど、部屋の中はストーブとおひさまのおかげでぽかぽか。
そんな中、私は小さなプラスチックの洗面器にぬるま湯を張り、アヒルの子・ポンちゃんのお風呂タイムを始めようとしていた。ポンちゃんはまだ生後3週間。ふわふわの黄色い産毛と、ちょこちょこ動く足がとても愛らしい。水が好きで、ちょっとでも洗面器の水の音がすると、すぐにパタパタと寄ってくる。
お湯に浮かんだ瞬間、ポンちゃんは「クワ、クワッ」と嬉しそうに鳴きながら水しぶきを上げる。こちらも思わず笑ってしまう。けれど、その日、予想外の「もうひとつの主役」が登場した。
それは我が家の子猫、名前はユキ。白い毛並みに少しだけグレーが混じる、まだ生後4ヶ月の女の子。これまでアヒルに興味を持つ様子はあまりなかったのに、なぜかその日、洗面器に近づいてきた。
ユキは、じーっと、ポンちゃんを見つめていた。
本当に、ただただ見ているのだ。
前足をちょこんと揃え、しっぽをゆっくり振りながら、完全にポンちゃんのお風呂タイムに魅了されているようだった。
まるで「なんでこいつ、水の中でそんなに楽しそうなの…?」とでも言いたげな顔。耳がピクピクと動き、目は真剣そのもの。時々、洗面器の縁にちょいっと前足を乗せて、水の中に手を入れようとする。でも、濡れるのがイヤらしくて、すぐに引っ込める。その仕草がまたおかしくて、私は笑いをこらえきれなかった。
子猫が水を怖がるのはよくあること。でも、ユキは“興味”と“怖さ”のはざまで、葛藤していたのだと思う。その葛藤が、もう人間のドラマのようで…それはそれは面白い光景だった。
ポンちゃんはというと、そんなユキの視線を気にすることもなく、お湯の中をスイスイ泳いだり、羽をプルプルさせたり、自分の世界にどっぷり。ユキにとってはそれがまた不思議でたまらなかったのだろう。ふたりの間に、言葉はなくとも確かな“対話”があったように感じた。
私たち人間が日々、何かを学び、笑い、癒される瞬間は、必ずしも映画や本やニュースからではなく、こんなふうに、日常のほんの一コマに転がっているのかもしれない。
子猫とアヒル。まったく違う種、違う性格、違う“好き嫌い”を持つ小さな命たちが、ひとつのお風呂をきっかけに通じ合ったような、そんなあたたかくて可笑しな瞬間。
それを見ている私は、まるで特等席の観客のようだった。
ユキは結局、その日一度も手を洗面器の中に入れなかった。でも、次の日もまた、ポンちゃんのお風呂タイムになると、ちょこんとやってきて座っていた。
もしかしたら、いつかユキも水に慣れて、ふたりでお風呂タイムを楽しむ日が来るかもしれない。そんな夢を見ながら、私は今日も洗面器にぬるま湯を張る。
小さな命がくれる、大きな笑いと癒し。
「アヒルの子がお風呂に入っているのを見ているかわいい子猫」は、ただの面白いシーンじゃない。
それは、命と命が出会い、驚き、学び、心を通わせる奇跡のような瞬間だった。
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