カンガルーは愛らしい家族と親密で愛情深い
オーストラリアの広大なブッシュに、まだ朝の霧がうっすらと漂うころ。
静けさの中に、小さな足音がぽん、ぽん、と心地よく響きました。
私はそれをカメラ越しに見ていたのですが、いつの間にかシャッターを切る手が止まり、ただその光景に見入っていました。
そこには、1匹の母カンガルーと、彼女のポーチの中からひょこっと顔を出す小さな赤ちゃん。
ゆっくりと草を食べながら、時折子どもの頭を優しく撫でるように前足で触れるしぐさ。
それはまるで、人間の親子が手をつないで散歩しているかのような、穏やかで親密な時間でした。
カンガルーの家族に宿るぬくもり
カンガルーといえば、力強く跳ねる姿や、筋肉質な体つきが注目されがちです。
でも、彼らの本当の魅力は、その見た目の奥に隠れている“家族への愛情”にあるのではないかと私は思います。
母カンガルーは、赤ちゃんをポーチの中で育てます。
外敵や乾燥した風から守るため、そのポーチはまさに「動く子守部屋」。
赤ちゃんカンガルー——ジョーイは、生まれてからしばらくの間、ずっとその中で母の体温を感じながら育ちます。
あたたかく、安全で、心地よい世界。
時々、顔だけを出して外の様子をうかがうジョーイを見ると、
まるで「ママ、世界ってどんなふうなの?」と聞いているかのようで、見ているこちらまで胸がきゅんとしてしまいます。
兄弟との絆と遊び心
ある日、私は同じ母カンガルーのもとで育つ、2匹の若い兄弟に出会いました。
彼らは柔らかな地面で、お互いにじゃれあったり、飛び跳ねたり。
小さな前足でそっとタッチし合ったり、お腹を見せて無防備に寝転んだり。
その姿は、まさに無邪気な子どもそのものでした。
けれど、その無邪気さの背景には、安心できる家族の存在があるからこそ、自由に心を遊ばせることができるのだと気づかされました。
親や兄弟たちがそばにいて、必要な時にはぴたりと寄り添い、何も言わずとも互いを思いやる——
カンガルーたちの暮らしには、言葉を超えた優しさがあふれています。
強く、優しく、生きている
野生の世界は、決してやさしくありません。
乾燥、猛暑、捕食者——さまざまな危険が日常に潜んでいます。
でも、そんな環境の中でも、カンガルーたちは家族で支え合いながら生きています。
母は子を守り、子は母に甘え、兄弟はともに遊び、学び、強くなっていく。
それは私たち人間の家族にもどこか通じるものがあります。
カンガルーがただ跳ねているだけに見えるとき、
実はその足取りの裏には、家族の記憶や、抱きしめた温もりが染み込んでいるのかもしれません。
「家族」という言葉の本当の意味
この地球に生きる私たちは、種が違っても、形が違っても、
心の奥にある“つながりを求める気持ち”はどこかで共通しているのだと、カンガルーたちを見て感じました。
愛とは、寄り添うこと。
家族とは、守り、許し、信じること。
そして、ほんの少しの時間を共有するだけでも、そこに生まれる絆があるということ。
朝靄の中で見た、親子のカンガルーのあたたかな光景。
それは、自然がそっと私に教えてくれた「本当の優しさ」でした。
Nhận xét
Đăng nhận xét